50歳前後とお見かけしたマダム。数年前にご主人が他界され、ひとりで店を切り盛りしているとか。キャリアウーマンに成長したお嬢さんが、良き理解者、アドバイザーだと微笑んでいました。この日、マダムのファッションは、カラフルな花柄ワンピース。いかにも上質シルク製と分かるものです。「ヴァレンティノのドレスですか?」と私。「そうなの、ヴァレンティノ。でもね、生地だけ。有名デザイナーのストックものの布地を安く売ってくれる人を存じていましてね。縫ったのは私。ハンドメイドですのよ」そうですか。ステキですね〜え。感心する私に、マダムは毅然と告げたものです。「でもね〜え、つきつめてみると、結局、オーソドックスな服がいちばん。おしゃれの究極って感じね。色も、基本は2〜3色じゃないかしら。白、紺、ベージュ、というぐあいに」日常はカラフルなコーディネートやプリント地の服を愛用していても、外出着は基本色が中心、と言う彼女。「シンプルなベージュのシルクブラウスに、上質ギャバジン(あや織りの生地)の紺パンタロンの組み合わせなんて特に好きだわ」そうおっしゃったものです。考えてみると、イタリア生活の十年余で最もフル活用している貴重なアイテムは、紺ギャバジンのツータックつきストレートパンツ。どのような場でも通用する服なので、常時欠かせなくなっています。時々、購入しては補充。外出着に重宝している、というわけです。それとは別に、紺のスーツも重要な一着。マダムの主張のごとく、「結局はシンプルな服がいちばんおしゃれ」となるようです。